展示室紹介
3.海に帰った哺乳類
テーマ3では、海に帰った哺乳類として、主にクジラについて展示しています。
テーマ3に入ると、大きなクジラの骨格が迎えてくれます。 ここに展示しているクジラの骨格は、化石ではありません。死んでストランディング(浜に打ち上げられた)したものを解体し、骨格標本にしたものです。 現在生きているクジラは、ヒゲクジラとハクジラの大きく2つに分けられます。向かって右側にハクジラ、左側にヒゲクジラを展示しています。 |
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ハクジラは、マッコウクジラ、ツチクジラ、イシイルカ、ネズミイルカを展示しています。 マッコウクジラ(写真下)は、頭の大きなクジラで全身の3分の1は頭です。ツチクジラ(写真上)と体の長さはほとんど変わりませんが、頭の大きさを比べてみると違うのがよくわかります。 |
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ヒゲクジラは、コククジラ(上)とミンククジラ(下)を展示しています。コククジラは、1995年に北海道豊頃町にストランディングしたもので、太平洋岸でストランディングした数少ない一つです。 ミンククジラには、ヒゲも付けて展示しています。 |
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クジラは、魚ではなく私たち人間と同じ哺乳類です。哺乳類は、主に陸で進化したグループで、クジラも元は陸上で生活した動物でした。クジラは、最近の遺伝子の分析でウシやカバやラクダなどを含む偶蹄類の仲間で、カバと近縁であると言われています。 この写真の動物は、メソニクスの生体復元模型です。メソニクスは、クジラの先祖にかなり近い動物と考えられています。 |
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原鯨類(ムカシクジラ)の頭骨 プロゼウグロドン(バシロサウルス)は体長20mほどの大型の動物です。小さく退化しているものの後足の骨格がそろった化石が見つかっています。 4000万年くらい前、世界中の暖かい海に住んでいました。はじめ爬虫類の頭の骨と考えられたことがあり、バシロサウルスの名がつきました。 |
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ケトテリウム科ミクソケトゥス 1500万年前のヒゲクジラで、大きな上あごが特徴です。鼻の穴がいまのヒゲクジラより前にあってやや原始的です。 ケトテリウムのなかまは世界中の海で栄えたらしく、300種前後が見つかっています。 現生のヒゲクジラとの関係はよくわかっていません。 |
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足寄から発見されたクジラ化石は、全部で21体あります。研究が終わり名前の付いたものが4体あり、いずれもアエティオケトウスの仲間になります。アエティオケトウスの上顎の骨は目の下につっこむようなヒゲクジラの特徴をしているので、ヒゲクジラの仲間に分類されますが、歯を持っています。原鯨類とヒゲクジラをつなぐ重要なクジラとして注目されています。 | |
カズハヒゲクジラ(Aetiocetus polydentatus アエティケトゥス ポリデンタトゥス〕。AMP12。 歯のあるヒゲクジラのうちただ一つ全身骨格が復元されています。歯のあるヒゲクジラの世界的な標準化石として注目されています。アエティオケトゥス科のなかでは、歯の数がたくさんあるのでこの名前をつけました。 このなかまが歯に加えてヒゲを持っていたかどうか、が研究上の課題になっています。 |
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クジラの仲間にイルカがいます。イルカは、れっきとしたハクジラの仲間で、日本ではだいたい4m以上をクジラ、それ以下をイルカと呼んでいます。英語では、くちばしのあるイルカをドルフィン、くちばしのない頭の丸いイルカをポーパスと呼んでいます。左の写真は、イシイルカ(手前)とネズミイルカ(奥)の骨格です。 | |
足寄の周辺地域ではデスモスチルスやクジラの化石以外に鰭脚類(アシカやアザラシ)の仲間の化石も見つかっています。 写真は現生のトドの骨格ですが、この仲間のアロデスムスが浦幌町厚内から発見されており、展示室に隣接する化石工房でクリーニング作業を行ってます。化石工房では、間近で見学することができます。 |