デスモスチルス 7つのなぞ
デスモスチルスって一体どんな動物なんでしょう?
みなさんは、生きているデスモスチルスを見たことがありますか?
だれも見たことがないでしょう。デスモスチルスは、ず〜とむかし(1,200万年ぐらい前)に死にたえてしまった動物なのです。
ですから、どんなかっこうをしていたのか、何を食べていたのか、どこに住んでいたのか、どんな動物に近いのか、なぜ死にたえてしまったのか、などなど、わからないことだらけなのです。
今もその子孫が生き残っている動物の化石が見つかったときは、その子孫から化石になった動物を知ることができます。たとえばマンモスゾウやナウマンゾウの化石は、今も生きているアジアゾウやアフリカゾウを調べればいいのです。ゾウの鼻には骨がないので、ゾウの鼻は化石には残りません、今もゾウが生きていなかったら、あの長い鼻を想像できなかったかもしれません。
子孫が生き残っていないデスモスチルスを知るには、化石をたんねんに調べていかなければならないのです。
そんなデスモスチルスの不思議をご紹介します。
- 歯の不思議「この歯は一体なんなんだ!」
- 姿勢の不思議「君はなんでそんなかっこうなの?」
- 生態の不思議 「君はどんなところに住んでいたの?」
- 食性の不思議 「君はなにを食べていたの?」
- 生息域の不思議 「君はどこにいたの?」
- 系統の不思議 「君はなにの仲間なの?」
- 絶滅の不思議 「君はどうしていなくなってしまったの?」
1. 歯の不思議 「この歯は一体なんなんだ!」
一番さいしょにデスモスチルスの歯が発見されたとき、みんながこう言いました。肉食のネコの仲間のおく歯は、ナイフのようにするどくとがっていますし、雑食のブタはでこぼこの山がついています、草食のウシは、センタク板のような横じまです。「こんな、柱をたばねたよう歯は見たことないよ!」ということで、束ねる(デスモス)柱(スチルス)から、デスモスチルス(束柱類)という名前が付きました。ほんとにふしぎな歯ですね。
2.姿勢の不思議「君はなんでそんなかっこうなの?」
デスモスチルスの仲間の化石の骨を、たんねんに調べて組み立てていくと、手足をグンと横にはりだした、まるでワニやカエルのようなかっこうになります。同じほにゅう類の仲間では、こんなかっこうをしたものはいません。なんでこんなかっこうになったのでしょう?ふしぎですね。
3.生態の不思議 「君はどんなところに住んでいたの?」
デスモスチルスの仲間の化石が、発見されているのはすべて浅い海だった地層から見つかっています。体のかっこうも、波にさらわれないようなふんばりのきく形になっています。そこで、しおの満ち引きがある、海岸ぞいに住んでいたのではないかと言われています。一体どんなところにいたのでしょう?ふしぎですね。
4.食性の不思議 「君はなにを食べていたの?」
デスモスチルスが住んでいた場所は、海岸と考えられています。化石が発見されたのと同じ地層から、カニや貝、植物の花粉などの化石が見つかっています。それと、食べ物には歯のかっこうが大きく関係すると言われています。学者のあいだでも、なにを食べていたかはっきり分かっていません。でも、海岸に住んでいたのですから、その周りにあるものしか食べられなかったでしょう。ほんとはなにが好きだったのでしょう?ふしぎですね。
5. 生息域の不思議 「君はどこにいたの?」
デスモスチルスの仲間の化石は、日本と北アメリカをはさんだ北太平洋沿岸でしか発見されていません。同じ海に住んでいるクジラは、世界中の海にいます。どうしてデスモスチルスの仲間は、北太平洋沿岸しかいなかったのでしょうか?そして、いつどこから来て、どんなふうに住む場所を広げていったのでしょうか?ふしぎですね。
6.系統の不思議 「君はなにの仲間なの?」
デスモスチルスの仲間は、絶滅してしまって子孫が残っていません。絶滅しても同じ仲間で子孫が残っていれば、なにの仲間か分かります。残っているのは、骨の化石だけ。そこで、骨のとくちょうを調べていくと、どうやらゾウの仲間(ちょうび類)やジュゴンの仲間(かいぎゅう類)に近いらしいといわれています。一体なにのしんせきなのでしょう?ふしぎですね
7. 絶滅の不思議 「君はどうしていなくなってしまったの?」
デスモスチルスの仲間の化石は、2,800万年前から1,300万年前の地層からしか発見されていません。そのころは、いっぱいいたはずなのに、今はその子孫すら生き残っていません。いったいなにがあって、どうしていなくなってしまったのでしょう?ふしぎですね。